あなたの身近にも、「ふっ、は〜」等とため息がやたらと多い人がいるのではないでしょうか。

そんなため息に対して、「ラッキー!何かすげぇ元気湧いてきた!」とはあまりなりませんよね。

むしろ、上司であれ夫であれ、ため息を付かれたら何だか気分が悪くなるという人の方が多いと思います。

でも、同じ人のため息でも、不快になるときとそこまでならないときを経験したことはありませんか?

実はため息は全て同じタイプのエネルギーを放つものではないのです。

ここでは、そんなため息をつく心理的意味と効果についてまとめました。

 

ため息が多い人の理由と心理的効果

人間がため息をつくとき、その裏には様々な理由があります。

実はそのうちのいくつかの種類のため息は、別にされてもそんなに不快な気分になりません。

たとえば、仕事がひと段落して「ふう、疲れた」というとき。

緊張しているのを落ち着かせようとしてするとき。

恋で悩んでいるとき、等。

まあ不快になるときもあるかも知れませんが、大概怒りがこみ上げてくるほどではないと思います。

逆に、上司や夫のため息は大体腹が立つのではないでしょうか。

その理由は、完全にため息の動機にあります。

本来ため息という行動には、不足状態になっている酸素を多く取り込んで心と身体をリラックスさせる効果があり、心身共に良い影響をもたらします。

ですが、ネガティブな心境でするため息は、負のエネルギーがそこに含まれてしまうのです。

もっとも、だからこそ吐き出すことで本人的には気分が晴れたりするのですが、それをまき散らされる周りとしてはたまったものではありません。

それを人間は無意識に感じ取るので、なぜだかすごく嫌な感じを受けるのです。

 

なぜ人前でため息をつきたがるのか

ため息をつくことが本人にとって良いことでもあるのはご理解いただけたでしょう。

であれば、なぜわざわざ自分の妻であったり、部下であったりの前でつくのでしょうか。

これはなぜかと言うと、その方が本人にとってストレス発散になるからです。

ネガティブなため息をまき散らされて周りが不愉快になることによって、相対的に自分の幸福度が上がります。

厳密には上がった気分になるだけですが、いずれにしてもそれが大きなため息の目的・意味なのです。

これはもちろん、パワハラやモラハラ等によるいじめにも同じことが言えます。

しかしながら、まさかそんなつもりでため息をついているとは思わないので、身近にため息が多い人がいてもなかなか強く言えないという方もいると思います。

 

ため息のもう一つの心理効果

ですが、「ため息をつくと幸せが逃げる」とよく言われるように、ネガティブなため息というのは結局は本人にとってもマイナスとなってしまいます。

ネガティブなため息は、悪い気が一時的に出ていきますが、そのままより大きな悪い気、ネガティブエネルギーを引き連れて舞い戻ってくるのです。

結果的に、もとの状態よりもさらに酷い精神状態になってしまい、完全に悪循環なのです。

ただ逆に、ポジティブな気持ちでため息を付けば、リラックス効果があるので悪いことではありません。

自分を落ち着けたいときや、心身のバランスを取りたいときに効果的です。

この場合は、ため息というよりも深呼吸と呼びます。

ただし、その場合であっても人前ではなるべく避けた方が良いです。

人からしたらやはりネガティブに捉えられてしまって、大なり小なりのネガティブエネルギーが跳ね返ってくることになるだろうからです。

明らかに深呼吸をしている、という印象を与えるため息の付き方なら大丈夫ですが、その場合であってもわざわざ人前でする必要はあまりないと思います。

 

ため息が多い人の対処法

ため息が癖になってしまっている人は、何をしたら良いのか。

原因となっているストレスを完全に解消できれば自然にしなくなるはずですが、それには非常に複雑な対処が必要になりますから、ここでは別の方法を紹介します。

上でお伝えしたように、とりあえずなるべくポジティブな気持ちですること。

そうすると、ため息というよりは深呼吸になります。

「あーあ、(何にも面白いことないな)」「あーあ、(こんな残念な部下を持ってつらいよ)」「あーあ、(嫁の物分かりが悪くて疲れるわ)」

のような言葉が言われていないだけで気持ちの中に隠されていたら、周囲にも自分にも何もプラスになることがないのです。

ですが、人によってはどうしてもしたくなるときもあるとは思います。

実際、言葉で愚痴を吐いたり暴言を浴びせたり暴力に出るよりはマシなので、ため息を我慢し過ぎてそのような行動に出始めるくらいなら、素直にネガティブなため息をした方が良いでしょう。

ただしその際に、自分が妥協していることは認めなければなりません。

とにかく自覚して、この癖を将来的に変えていかなければならない、という思いでずっといるようにしてください。

そうすれば、時間こそ掛かりますが必ず少しずつ良くなっていき、そのうち嫌なため息もつかないようになります。

 

周囲がするべき対処法

逆に周りの人としては、そんなため息をつく人をもう少し理解し、いたわる努力をしなければなりません。

たとえば旦那であったり上司というのは、やはり社会の波に揉まれて様々な責任を背負わされながら相当苦しんでいるので、ときにはため息をつきたい気持ちにもなるでしょう。

ただため息をついて自分の元気を奪おうとしている、ではなくて、それだけ元気がないからやむ負えずそういう行動を取ってしまっている、という考え方をすることです。

そうすれば、そこまで腹も立たなくなり、吸い取られるエネルギーも少なくすむようになるはずです。

また、妻にしても部下にしても、そちら側の態度が変われば夫や上司の態度も大概変わります。

人は自分を思いやってくれる人間を嫌いにならないので、そんな人から元気を奪いたくないと無意識に考えるからです。

あるいは、たとえそれでもやられたとしても、本人の中で罪悪感が生まれるようになります。

この罪悪感は間違いなく本人の成長に繋がりますので、思いやりを持って接することにデメリットなど何もないのです。

ため息が苦手・嫌いとただ軽蔑しているよりも、こういう考え方で接するようにした方があなたの今後にとって、そしてため息をする人にとっても間違いなくプラスになり、正の連鎖を生み出せると思いますので、お勧めです。

ただし、これで相手が全く変わらないからといって怒り等の負の感情を感じていたら意味がないので、相手には期待をしないようにしてください。