あまり一般的ではないかも知れませんが、たまに「ストイック」と表現される人達がいます。
しかしながら、ストイックに当てはまる人達に対して苦手意識を抱いていたり、逆に憧れの気持ちを抱いていたりと抱く印象が両極端であったりしますね。
これは一体なぜなのでしょうか。
そもそもストイックという言葉自体の意味がイマイチ分からないという人もいると思いますので、ここではストイックの意味と、それを好きな人・嫌いな人の心理についてフォーカスします。
ストイックの意味
ストイックとは、本来の意味はストア哲学の信奉者になります。
ストア哲学はストア派と呼ばれる紀元前に活躍した学派が導き出した人生哲学の総称です。
現代の日本におけるストイックの意味は、そのストア哲学の大きな特徴として挙げられる禁欲主義の概念があります。
つまり、自分の夢や目標を実現するために、他の趣味や娯楽等のやりたいことを我慢して、全力で努力するタイプのことをストイックな人と表現します。
ストイックな人の特徴
ストイックな人は、一言で言えば、とにかく頑張り屋です。
そして、妥協を決して許しません。ですから、勉強でもスポーツでも仕事でも何でも、やるとなったらとことん突き詰めていきます。他のことはもうお構いなしで、1にも2にもそれ、という感じで集中します。
また、一つのことをし出したら他のことが頭から消えてしまう人も、ストイックな人になります。
これはアスペルガー症候群とも診断されるような人になります。その場合、本人はそれしか目に入らなくなるので、別に本人は努力をしているという自覚すらない場合が多いのですが、周りから見たら信じられないような集中力を続けています。
ストイックな人には種類がある
ストイックは、一つの見方では大きく二種類に分けることができます。
一つは、
①/本当に自分が好きであったり、興味を持っていたりやると決めた一つのことのみに対して集中する人。
もう一つは、
②/自分がやると決めた何かに対して集中する人。
になります。
①については、将来とんでもない偉業を成し遂げて偉人になる可能性があります。
実のところ、アスペルガー症候群のストイックな人はこちらのタイプに当て嵌まります。
一方で②については、たとえば学校であれば勉強とスポーツの文武両道で結果を残したり、ゲームであれば誰よりも強くなったり、仕事であれば誰よりもできる人間になろうとします。
つまり、その根底にあるのは「負けたくない」という気持ちになります。ですから、②のタイプは自分が好きだから一生懸命やっているのではなく、ただ負けず嫌いで負けたくないから一生懸命努力しているのです。
ここが、①のタイプのストイックな人との決定的な違いになります。
では、どちらが本物のストイックかと言えば、当然①のタイプになります。
②のタイプのストイックな人は、大概の場合においてその原動力が劣等感です。その場合、周りからどう見られるかで、何に対して自分が頑張るのかが決まります。ですから、基本的に勉強やスポーツのような目立つ方向に向くはずです。
そして、結果的に器用貧乏になってしまう人が多いです。
ストイックな人が好きな人と嫌いな人の心理
前述のようにストイックな人といっても二種類あるのですが、ここでは主に①のタイプについて好きな人、嫌いな人の心理を取り上げていきます。
ストイックな人が好きだという人は、ストイックに努力して、才能の差も覆しながらどんどん凄い成果を出していく人に対しての憧れの気持ちがあります。
と同時に、自分がそうなりたくてもなかなかできない自分にもどかしさを抱いていますが、それよりも尊敬の念の方が強いので、その自己嫌悪の部分は表には出てきません。
一方でストイックな人が苦手であったり、嫌いな人というのは、ストイックな人に対する尊敬の念よりも、その存在に対して煙たく感じる気持ちの方が強いです。
その理由は、まず尋常ではない努力でどんどん自分の人生を切り開いていく人を見たら、自分も努力次第でもっとやれる、ということになるからです。するとどうなるかというと、今現在の状況に対して不平不満や泣き言を言ったり、環境の悪さや才能のなさを理由にすれば、それは自分の才能が足りないからではなくて、努力が足らないから、ということになります。
つまり、自分がこれまで自分や人を納得させてきた言い分が、ただの言い訳になってしまうのです。
そのため、たとえば自分よりも明らかに酷い環境に育ち、自分よりもずっと学歴がないのに、ストイックさで自分を遥かに追い抜いて富や社会的地位を手にした、という状況に対してものすごく嫌な気持ちを抱きます。
実はこういった心理はストイックな人が好きな人にもあるのですが、こちらのタイプはそんな自分の弱さを受け入れています。受け入れた上で、ストイックな人のように自分もなりたいと思っているから、好きなのです。
ですがその一方で、ストイックな人が苦手であったり、嫌いという人は自分の弱さを受け入れることができていません。
そのため、ストイックで結果を出している人に対しても、たとえば「この人には実はこんな才能があった」等と言ったり「でもこんなところが駄目じゃないか」等と揚げ足を取ったりして、何としてでも「自分は仕方ないんだ」「やることをやっているんだ」という考え方をしようとします。
言い訳の材料を必死で探すのです。
しかしながら、言い訳が苦し紛れになればなるほど、自分も薄々それに気付く、あるいは気付かざるを得ないのでだんだん辛くなってきます。ですから、ストイックな人というのは、本当は弱いのにその自分の弱さと向き合おうとしない人にとって、非常に都合の悪い存在なのです。
ただし、ストイックな人が嫌い人でも、すでに自分の弱さと向き合わなければならない気持ちになるのが苦しいから、ということに気付いている人というのは、自分を理解していると言えます。
ただし、②のタイプのストイックな人が嫌い、というのは特に問題ではありません。
何故なら、②のタイプは劣等感から意地になって、本当に辛いことを我慢して努力しているので、概して何かに追われるような人生になってしまっているからです。そのような人は、成果を上げると、それをできる限り多くの人に認めてもらいたいと思い、ひけらかしたがるのが特徴です。
ただしもちろん、成果を上げている以上は立派なことであるのには違いないですし、自分の願望を実現していく意志の力があることにも疑いの余地はありません。ですから、いずれにせよ尊敬に値する人物ではあるのです。
まとめ
自分が弱い存在だと思うことは、特にプライドの高い人にとってはとても辛いことだと思います。しかしながら、その弱さと向き合うことなくして、人間は本当の意味で成長することはできません。
別に偉人と比較する必要はないので、自分の悪いところはちゃんと向き合って、少しずつ前進していくためにも、ストイックな人を素直に認めることから入るのは大切なことだと思います。
もちろん、必ずしもストイックに生きる必要はありませんが、誰でも大なり小なりの不満があるはずです。その不満を少しでも解消していくために、ストイックな人達から学べる部分は多いのではないかと私は思います。