虫という生物は私たちにとって非常に身近な存在であるのにも関わらず、これらに対してやたらと嫌悪感を示す人は少なくありません。
ところが、多くの子供は虫が好きで、大人であっても時代や国によってはほとんど気にされていなかったりします。
これは一体なぜなのでしょうか。
ここでは、虫が苦手で嫌いな人の心理的な理由と、克服方法、あるいは重度な場合の対策をテーマとしてまとめました。
Contents
虫が苦手な心理的な理由
ではまず、なぜ虫が気持ち悪いと思われるかざっくりとした理由を挙げてみます。
- 見た目・動きが人間と大きく違う
- 頭がなくなってもしばらく動いている
- 中からよくわからない生き物が出現する
- 妙な体液を出す
- 体液が緑だったりする
- その上に簡単につぶれる
- 大量発生する
- どこからともなく現れる
- 動きが読めない
なるほど、こうして並べてみても、確かに気持ち悪がられる理由は十分にあると思えます。
というか、この時点で半分答えが出ているような気がしますね。
しかしながら、単純にだから虫嫌いなのは仕方がない、むしろ嫌いじゃない人の方がおかしいと結びつけるのは早計です。
なぜなら冒頭でも触れたように、虫に対しての意識は年齢層や時代、国によって大きな違いがあるからです。
虫に対しての苦手意識と年齢
虫に対して嫌悪感や恐怖心を感じる年齢には、非常に面白い傾向があります。
基本的に、幼い子は虫に対して何とも思っていないどころか、むしろ好奇心を抱いて興味を持っています。
ところが年齢を重ねるにつれて、虫を嫌いになったり、苦手意識を感じる子が増えていきます。
そして大体思春期くらいにピークに達して、高齢者までは平行線で、ある一定の年齢(大体60とかそのくらい)に達すると、今度は逆にだんだんと苦手な人が減っていきます。
現に、5歳未満であったり、90歳以上で虫を苦手な子供や老人はほとんどいません。
虫が苦手になる根本的な原因・心理
多くの人が虫嫌いな原因・心理については、有力な説が二つあります。
防衛本能説
虫は一見すると小さくて弱弱しい存在なのですが、猛毒を持っていたり、意外と凄い武器を持っていたりして見掛けによらず危険な存在もいます。
ですから、その虫がどんな性質を持つのかを知らずに不用意に近づいたり、手を出すことは下手したら命にも関わるわけです。
今でこそ私たちはどんな虫が危険なのか知る手段がありますが、大昔はそんなものなどもちろんありませんでした。
そのために、得体の知れない生物に対して気持ち悪い、と感じる感覚が備わったのではないか、ということです。
気持ち悪いと感じればわざわざ近づこうとしないですし、触れようともしませんからね。
価値観説
私たちは生まれてから数え切れないくらいの価値観を築き上げてきています。
そして私たちはこの価値観という存在に対して、かなり無自覚であるのにも関わらず、実に計り知れないほどの影響をそれぞれの人生に及ぼしています。
たとえば、私たちが常識だと思っていることは、別の国、時代であれば全く常識ではなかったりしますよね。
常識外れの行為に対して「我慢できない!」という人も、別の国、時代で生まれていたらその行為をしても何とも思わなかったでしょう。
これを虫に対しての意識に当て嵌めると、年配の方々は虫を「気持ち悪くないもの」として捉え、それ以外の世代は虫を気持ち悪いものとして捉えます。
では、その年配の人達が虫に対して気持ち悪くないものと捉える価値観は一体なぜ培われたのか。
これに対しての確かな答えがあります。
それは戦争体験です。
戦争が頻発していた時代というのは、ただでさえ不衛生であったために虫がより身近な存在であったのに加え、インフラも十分に整っておらず食べ物や生活必需品の供給もいつどこで滞ってしまうかもわからない状況でした。
しかもちょっとした病気であったり、戦争の怪我等で命を落とすし、みんなが生きていくだけで精一杯な時代だったのです。
故に、一々虫を気持ち悪がっているような状況ではなかったわけです。
その結果、虫はいて当たり前で、気持ち悪いと思わない価値観が社会全体に浸透したのです。
しかし、今の安心・安全・綺麗が当たり前の時代では、もともと気持ち悪さにおいて潜在能力が高い虫達はその気持ち悪さを改めて認識されることとなってしまいます。
しかも身近にいないことから慣れている大人も少なく、結果として虫=気持ち悪いという価値観が社会全体に浸透してしまい、男女を問わず多くの大人がヒィヒィ言っているのです。
さらに、子供はその大人達の逃げ惑い、慌てふためいたり悲鳴を上げたりと情けない姿を見て、「虫は気持ち悪いもんなんだな」と再認識し、価値観が潜在意識に植え付けられるのです。
そうなると、今の世代に虫嫌いな人が多い理由がはっきりと見えてきますね。
虫嫌いを克服する方法
では、どうしたら虫が苦手なのを克服できるのでしょうか。
手っ取り早いところで言えば、まず比較的気持ち悪くない、身近な虫から慣れていくことです。
たとえば、クワガタであったりカブトムシというのはハードルとしては低いと思うので、まずは彼らに触れてみる。
すると、手に取った感触はどこか新鮮で気持ちよく、もぞもぞして意外と可愛いと思える可能性があります。
これで、彼らと似た見た目の虫に対しては少し免疫ができるはずです。
他の例で言えば、バッタ系に関してはかなりエビと似ているので、まず生きたエビを触れてみると、抵抗は少し減るでしょう。
もちろんこれはあくまでもきっかけで、こうして少しずつハードルを上げていく、というやり方です。
そうすれば、全く別のタイプの虫であっても同じ虫なので、完全に克服とまではいかなくても前ほどは苦手意識を感じなくなるはずです。
虫が得意な人をよく観察する
実は、もう一つ非常にお勧めの方法があります。
それは、虫が得意な人と行動を共にし、虫と戯れているところをしっかり観察することです。
その人が虫に対して何とも思わない、あるいは好きであればある程自分も何となく「大丈夫なんじゃないか」と思えてきます。
「虫って可愛いよね~」とか言いながらカマドウマを自分の肩とかに乗せたりして喜んでいるのを見たり、ゴキブリを手で叩いて退治しようとする人を見たりすればあなたの中で虫に対しての意識も自然と変わってくると思います。
その様子を見ているうちに、あなた自身も触れるような気分になってくるでしょう。
ただし、これはテレビや動画等で画面を通して見ると、あまり効果はありません。
やはり直であり、身近な人だからこそ、潜在意識的にもより安心感を植え付けることができるのです。
恐らく、誰でも周りに一人くらいはそういう人がいると思います。
虫嫌いというのは、幼い頃に余程のトラウマを抱えていない限りは、克服するのは決して不可能ではありません。
実は普段から見慣れていない、触れていないことが一番の原因であったりします。
ましてや自分が遭遇した際に対応するくらいになるのは、住んでいる場所にもよりますが基本的には難しくないはずなので、そこまで深刻にならずトライしてみてください。
虫嫌いが重症な人の対策法はある?
とはいえ虫に対してトラウマを持っていたりする等で虫嫌いが重症の場合は、そんなに簡単にはいかないでしょう。
その場合、まず克服するという考えではなくて、最低限対処できるようになるということを考えてください。
そのために最良の方法は冷却スプレーです。
スプレーによっては飛ぶ虫をさらに勢いづけてしまうことになるので非常にリスクが高いです。
ですが冷却スプレーなら当たらなくても動きを鈍らせることができますし、直撃すれば一瞬で凍り付きます。
凍った虫も気持ち悪い、という人はまた泡で固めるスプレーなどもありますしそういった商品を活用すると良いでしょう。
ですから、虫嫌いが重度な人であっても自分の部屋にこれらのスプレーを常備しておけばかなり安心できるはずです。
いくら虫嫌いでもこのくらいの克服は恐らく可能だと思うのですが、それすらも嫌だという場合は、もう虫と一切関わらない生活を考えた方が良いです。
そのためには、虫の出現しない地方に移るしかありません。
温かい場所であればあるほど、わけのわからない虫と遭遇したり室内に侵入して急に大量発生する確率が高くなります。
その点で言えば、北海道辺りは日本ではもっとも虫の出現率が低い地域の一つです。
環境は最強
ちなみにこれは個人の体験談ですが、実は私自身が昔ゴキブリが大の苦手で、出現したらスプレーを撒き散らしたあと誰かに片付けてもらうことしかできませんでした。
しかしながら、それからゴキブリのメッカであるオーストラリア(知らない人は多いかも知れませんが夏の出現率は半端じゃないです)に留学し、現地の人達がゴキブリをまるでその辺に落ちているゴミかのように意に介さない姿を見ていたら、自分もゴキブリが大したことない存在に思えてきました。
結果、今ではやろうと思えば素手で掴むこともできます(もちろんわざわざしませんが笑)
よくよく考えてみれば、私も母がゴキブリが出た際にいつも悲鳴を上げているのを見ながら育ったので、自然にゴキブリに対してのネガティブなイメージが定着したのだろうと思います。
それだけ環境は大きいので、ぜひ参考にしてみてくださいね。